「社会人の知り合いを増やしたくさん話を聞きます」に隠された5つの罠
こんばんは、tai89です。
海外に留学に来ている学生と定期的に面談を実施し、長期的な目標とそれから逆算した「直近の目標」を一緒に考えています。
その際によく目標の一つとして学生から出てくるのが、「社会人の知り合いを増やし、色々な話をたくさん聞く」です。
学生だけの世界を抜け出して、社会人と交流することで自分の視野を広げるという考えは非常に評価できます。また、就活に向けて自分の考えを整理したり、考えをアウトプットするにはもうってつけの機会でもあります。
でも時々、「社会人と話すこと」だけが目的になってしまっている人がいるのも事実です。
今回は「社会人からたくさん話を聞く」と言っている人が陥りがちな5つの「罠」について考えていきたいと思います。
- 「社会人に話を聞けば就活が上手くいくだろう」の罠
- 「社会人は社会の全てを知っているだろう」の罠
- 「社会人と人脈を築けばどこかで活かせるだろう」の罠
- 「社会人から話を聞くこと自体に意味があるだろう」の罠
- 「社会人は答え教えてをくれるだろう」の罠
「社会人に話を聞けば就活が上手くいくだろう」の罠
初めての学生と面談をすると、こういうマインドを持っている人がたまに見られます。
「就活は何から始めたらいいのかわからないので、とりあえず社会人の知り合いを増やして色々話を聞きたいと思います」
なるほど確かに就活において様々な人から話を聞き、自分の視野を広げるということは良いことです。良いことですが、社会人から話を聞けば就活が上手くいくかと言えば、そんなことはあり得ません。
「就活の本質」にある記事でもお伝えしております通り、就職活動というのは、自分が今後どのようなキャリアを描くための第一歩で、その第一歩のために自分のやりたいことを知り、自分自身と向き合うということです。
そのため、自分自身と向き合いもせずに誰かれ構わず話を聞いていても、その中で自然と自分の軸が定まっていくということは難しいのではないかと思います。
逆に、社会人の言う「仕事」が全部面白そうだなとなって、自分がどうしようかわからなくなる場合が多いのではないでしょうか。
しかしこの「面白そう」という視点を持つことは良いことです。
ただ自分の中だけで「面白そう、面白そう」と思うだけでは意味がなく、それを深掘りして「何に面白いと思うのか」 という自分との向き合いをしないことには全く意味がありません。
「社会人は社会の全てを知っているだろう」の罠
学生にとって、社会人というのはある意味「全知全能」に見えるかもしれません。
でも社会人にとっても、自分が知っている社会は、世の中のほんの一部でしかありません。
それを理解していないと、社会人の言ったことを全て盲目的に信じてしまいます。
例えばある社会人から「営業とは」という話を聞いたとします。
でも営業もメーカーか商社かでやり方は違いますし、そもそも業界が違えば営業スタイルも大きく変わります。もっと言えば、同じ業界でも会社によってそのやり方は全く違います。
そのため、ある一人から聞いたことを「全て」だと思い込んでしまうと、残念ながら自分の視野を狭める原因になってしまいます。
社会人から話を聞く際は、このことを念頭に置いてください。
「社会人と人脈を築けばどこかで活かせるだろう」の罠
――なんで社会人とたくさん会いたいと思うの?
「社会人と知り合っておけば、どこかでその人脈を活かせると思うから」
この答えも、学生らしい回答です。
社会人はあなたに優しくしてくれるでしょう。ご飯をご馳走もしてくれるでしょう。でもそれとビジネスは、全くの別物です。
社会人と会っているだけじゃ、残念ながら人脈は築けません。
人脈というのは、お互いにメリットがなければいけません。
あなたに「価値」が無ければ、本当の人脈を築けないのです。
ある意味社会人にとってみれば、学生と話すことは承認欲求を満たしているので、学生と飲むことでメリットはあるかもしれません。
しかしあくまで承認欲求を満たすためだけの学生になってしまっては、人脈とは言えないでしょう
「社会人から話を聞くこと自体に意味があるだろう」の罠
これまでの3つを統括すした感じになりますが「話を聞くこと自体に意味がある」という罠にハマってしまう人もいます。
もしくは、社会人に知り合いが多いから、社会人とたくさん話したから、他の学生よりレベルが一段階上がったと思う学生。
話をたくさん聞けば聞くほどためになる。
当然その側面はありますが、それはあくまで「聞き手」が何かを意識し、目的を持たなくては達成し得ません。
また、社会人の知り合いが多くても、何もすごくありません。ただその事実だけなら、就活に何も活かすこともできません。
あくまでも目的意識です。そこから何を学んだか、です。
「社会人は答え教えてをくれるだろう」の罠
そして最後の1点。それは「社会人は答えを教えてくれるだろうと」いう罠。
「私は何が向いていると思いますか?」
そう悩んでいる学生に「これだよ」と教える社会人は、私の価値観でいくと「良い社会人」ではありません(笑)
一方、答えではなく、ヒントを出す社会人は良い社会人です。
そして実際、多くの社会人も答えを出すのではなく、
- あなたは何をやりたいの?
- あなたはどう思っているの?
- あなたは何がいいと思っているの?
ということを聞いてくるはずです。
そもそも「生きる」というのは、正解など無いものです。就活ももちろん、これと言った絶対的な正解なんてありません。
社会人はそれを知っているからこそ、すぐ答えを求めようとする学生には、答えをあげようとしません。あくまで自分はどうしたいのか、という自分と向き合うための問いを投げかけます。
これまで5つの罠を紹介してきました。
社会人と交流することは、自分の視野を広げ、新しい情報を知ることができ、非常に有意義だと思います。
でも目的意識が無ければ、何も得られることはりません。
主体的に。そして目的意識を持って。
それを忘れず、頑張ってください。